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デリブには絶好のチャンスだ。
まとめて仕留められる。救世主と支配者を一度に殺せるこの機会にデリブは歓喜し体を震わせけたたましい声で笑った。
耳の穴に指を突っ込む魔王の扇はやれやれとため息を吐く。
「…やるならさっさとやるぞ、こちとら忙しいんだ」
「では始めましょうか」
「来いよッ!!まとめて相手してやるよ、本物の地上最強になるためにはテメェらをブチ殺すのは絶対条件なんだ!!バラバラの粉々にしてやるからよォ!!さっさと来いよオラァッ!!!」
デリブが全身から赤い魔力を放出。体に刻まれた魔力と同色の紋様が真紅に輝き出した。
「魔力管を集合させてんのか、面白い考えだ」
「行きますよ魔王、初めての共同作業です」
「うーわ一気にやる気無くなったわ…」
「なんでですかっ!」
赤い魔力が荒れ狂う。肌にぶつかる。
勇者レアティアが腰に差す金色の聖剣を抜き、魔王扇は指の骨を連続で鳴らす。
魔王が言った。
「いやぁホント、とんでもねえ"小物"が現れたもんだわ」
それが引き金となって。
赤を挟む形で、白と黒が突撃する。
〇
「魔王、やり過ぎですよ」
「動けなくしないと暴れ続けるだろが。つか!お前にそれを言われたかねえ!!」
「何故ですか!!」
これは魔王と勇者の物語。
決して相容れないはずの存在が共に生きる、ちょっと変わった世界のお話。
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