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振り上げた刀が昆を狙う 「ヒッ」 怖がっている小町に荷物を押し付けると、浪士の懐に入り右肘で鳩尾を打ち刀が小町に当たらないように左手で浪士の右手首を掴み刀の軌道をずらしながら投げ飛ばす。 「このっ」 気絶した浪士を見ると逆上したもう一人が昆に向かって突きを繰り出す。 まだ浪士の右手から手が離れていなかった昆はそのまま左手で刀を握ると、向かってきた突きを往なして背後に回ると首に手刀を落とした 「ヒュー、やるぅ!」 「島田さん二人を奉公所にお願いします」 口笛になってない島田に浪士を託すと、震えている小町にそっと近寄り荷物を受けとる 「強いんやね」 そうとう怖かったのか、小町の唇は青白く変色し、小刻みに震えている 「すみません、怖がらせるつもりはなかったんです。本当に」 こういう時、土方なら肩を抱き寄せて甘い言葉の一つや二つ簡単に言ってのけるのだろう。 「いいんよ。強いし、話し方の印象違うし、刀持っとるし驚いただけや……着いてきてくれて本当よかったわぁ」 「あー……、僕も一応用心棒ですからね?浪士の対応は出来るんですよ?だから泣かないで下さい」 泣き崩れる小町に慌てふためいていると斎藤が近寄ってくる 「女。立てるか?」 「ちょっとぉぉぉ!一君言い方!言い方があるからね?」 「ぬっ。そうか、済まない」 「ぬっ。じゃ、ないからね?なんなの?助けてくれないし!煽りにきたの?」 「助けに来た訳ではない。いつまでもヘラヘラ笑っている腑抜けた根性を叩き直しに来ただけだ」 「うん。そうだよね……って違うじゃん!結局煽りに来たんじゃん!」 「ふふっ」 「え?」 終わりそうにない会話を止めたのは小町の笑い声で。立ち上がって砂を落とすと、おおきに。と言ってまた笑った。
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