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昆が道場に顔を見せると一ヶ所に人だかりができている。気になって凝視すると中心には花がいる、どうやら水筒を配っているようだ。だが昆は何となく違和感を感じる 「はーい、ちょっと通るよー」 不意に後ろから隊士の声がして横に避けると隊士が何かを持って人だかりに入っていく。そして違和感に気付く。 「ありがとぉ。花、重いの持てないから手伝ってくれて嬉しぃ」 「俺達はお花ちゃんの笑顔が見れるだけで嬉しいよ」 花は、水の準備を隊士にさせて配っているだけであった。稽古を疎かにして女中の手伝いなど女中を雇う意味などない。それに気付かないバカは誰なんだと、昆は額に手を当てる 「三朗君みたいな美丈夫にそんなこと言われたら花、照れちゃうよぉ」 バカは馬越だった。 考えるのもバカらしくなり壁に立て掛けてある木刀を手にすると、それに気づいたようで沖田が嬉しそうに駆け寄って来た 「ちょっと打ち合いするので皆さんは壁際に寄って下さい」 沖田の大声に水筒を持った隊士達は花と一緒に壁際に寄る。昆は沖田と充分な間合いを取ると感覚を確かめるように右手で木刀を何度か振り落とす 「三本勝負でいいですか?」 「これでも病み上がりなんで調整程度にしてくださいよ」 「そのお願いは聞けません」 審判もつけてないのに、沖田はいきなり振りかぶった
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