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「山南君ちょっといいかな」 辺りも寝静まった頃、近藤は山南の部屋に赴いた。 「局長自ら……どうかなさいましたか?」 お茶を、と立ち上がる山南を近藤は手で遮りその場に座るよう促す 「なぁ、山南君は最近のトシの事どう思う。」 「そうですね……」 山南は考えた 「元々自分にも他人にも厳しい人でしたが、最近の彼を見ていると時々痛々しくてなりません」 「やはり山南君もそう思うか」 近藤は山南の話に、ウンウンと頷く 「トシは変わった。あれだけ憧れていた武士に成れたと言うのに証である大小の刀も今は大しか差していない」 近藤は悲しそうな表情をしながら話を続ける 「トシは無くしたと言うんだ。だが買いに行こうと誘っても頑なに断ってくる……本当は」 「蛍君ですね」 山南は近藤の言葉に被せるように言い放つ 「土方君が鬼の副長と呼ばれるようになったのも刀を一本差しにし始めたのも彼女が居なくなった頃ですね」 二人は目を合わせた 「トシは追い出した経緯を教えてはくれん」 「さしずめ女の幸せを願った結果でしょう」 山南は優しく微笑む 「だがやはり蛍君の存在は大きかったと思うんだ。だから―――」 近藤の言葉に山南は静かに頷いた 「幹部には後日改めて言おうと思う」 「わかりました。周りに気を配っておきましょう」 すっかり夜も遅くなっていた――――
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