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「左之さんの奢りぃっ」 「誰も奢るなんて言ってねぇ」 「そうかありがたく戴こう」 「奢らねぇからな」 藤堂と原田、斎藤は島原にある角屋に足を運んでいた 「でもよぉ、新八っつぁん居ないとなーんか盛り上がりに欠けるよな」 「お前だけでも充分うるせぇよ」 「一人でそれだけ騒げれば随分な芸当だ」 「藤堂はんも大変どすなぁ」 二人ともひでぇなぁ……と呟く藤堂に徳利の進み具合を確認しに来た舞妓が笑う 「失礼します。徳利をお持ちしました」 スッと襖が少し開くと徳利の乗ったお膳だけが部屋の中に置かれ襖が閉まる。一瞬の動作だが藤堂はあることに気づく 「なぁ今のって男?」 「そうどす。堪忍してくだせぇ」 舞妓は客の機嫌を損ねたのかと思い急いで謝る……が藤堂の目は新しい玩具を見つけたかのように輝いていた 「島原に男?面白ぇ!会って見てぇ!なぁ、呼んで!」 藤堂の頼みに舞妓はお待ちくだせぇ。と一言言うとすぐに男の後を追う 「お前も物好きだな」 「平助は男色の気もあったのか、気を付けよう」 「ちょっ、ちげぇからな!勘違いすんなよ」 三人が騒がしくしていると、すぐに失礼しますと声がかかり襖が開く。 目の前にいる作務衣を着ている男と言うには幼い少年に目を見開く。 藤堂に至ってはお猪口を落とした
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