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「なぁ、土方さんも行こうぜ!面白ぇから、本当に!」
「だぁぁぁ!もう、煩ぇよ!俺は行かねぇから他当たれ」
あれから一週間。藤堂は土方に着いて回っていた。
「なんだよぉ、最近土方さん連れねぇなぁ」
「どうされたんですか」
「あ!山南さん、皆おかえ……山南さんどうしたんだ!」
一人不貞腐れている藤堂の後ろから声がかかる。大阪に行っていた隊士達が丁度戻って来たのだ
「あぁ、これは……不覚をとりました」
山南は吊るされた左腕を擦る
「手当てを…」
「ちょっとお待ちなさい」
走って行こうとする藤堂を山南は引き留めた
「それよりも土方君と揉めていたようですが何かあったのですか?」
「あー……大したことじゃないんだけど」
藤堂は言いにくそうに視線を落とし頬を人差し指でかく
「角屋に蛍に似た男が居たんだ。面白かったから土方さん誘ったんだけど断られた」
「そんな人が……」
山南は何かを考えながら口にだす
「その事は近藤さんに話しましたか?」
「近藤さん?いや、あの人飲めないから……」
「そうですか、でしたら私が行きましょう。永倉くんも興味あるでしょう?」
「え?俺?」
「山南さんが行くの?……え?」
荷を片付けに戻る山南と永倉を背に、藤堂の独り言だけがその場に寂しく響いた
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