転校生

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「光君 入ってもいい?」 保健室の扉を開け顔だけを覗かせるその姿はまるで女の子のようだ。 でもそれは間宮が人懐っこい性格であって、女の子になりたいとかではない。 この頃間宮はよく保健室に来るようになっていた。 だからと言って何かが変わるわけではない。 「次の授業また出ないの?」 「うん めんどくさいし」 「単位取れなくなるよ?」 「大丈夫 出ないといけない数は出てる 毎年ぎりぎりのラインを攻めてるんだよね」 「そんなにさらりと言う事じゃないよ」 人付き合いが苦手だとは思わないが、自分から積極的にするのはあまり好きじゃない。 ある程度の距離感で深入りせず深入りされない そんな関係が好きで、今までそれ以上になった事もない俺には、明るくでもさらりと深く入って来る奴は苦手でしかなかったのに 間宮はどこが違うのか、彼といると少し安心できる自分が居た。 その理由が自分でもよく分からなくて 俺はそれがむずがゆくて気持ちが悪かった。 「光君は卒業したら進学するの?」 「いや まだ迷ってるけど 店開きたいなって思ってる そのために昔から金ためてきた」 「なんのお店?」 「自分の好きなものが詰まってて隠れ家みたいな ゆっくりできるような場所にするんだ 本とアンティークな家具を合わせて 照明は暖かい色 観葉植物がいっぱいあって全体的にって何言ってんだろうな」 自分の夢なんて誰にも言ったことは無かった。 でも誰かに聞いて欲しかったのかな?聞かれたら溢れるみたいに話すってことは、それだけ夢が膨らんでいたんだろう。 誰でも良かったんだ、でも間宮以外に夢をお聞かれても俺はこうやって話したのかな? きっと話してない。間宮といると俺は調子が狂う。 「じゃあ僕1番のお客さんになるから招待してね」 ほら こんな言葉に舞いあがってる。 こいつといると本当に調子が狂うんだ。
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