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「なぁ間宮って弁当自分で作ってるって言ってたよな?独り暮らしなの?」
「違うよ?弟2人居るし親と暮らしてるけど どうして?」
「いや 親が作るもんだと思ってたから 間宮は…」
その言葉を続ける気にならなかった。間宮は俺と同じだとどこかで思ってしまっていた自分が虚しくて、やっぱり完璧な奴なんだと再確認した。
「光君 大丈夫?」
「あぁ なんでもない。つか料理上手いのな 俺一人暮らしだから買ってばっかでさ」
「食べる?僕別にお腹減ってないから今日は残そうと思っていたんだけど…
でも少し食べちゃってるしそれでもいいなら」
少し食べてると言っても間宮の弁当は1つ卵焼きが無くなっていただけで、殆ど手を付けていない状態だった。
間宮は本当に食べる気がなさそうで箸をすでに片していた。
その弁当を貰い 俺は開封すらしていないパンをあげた。
こんなものでは釣り合わないかもしれないが、俺には交換できるものがこれしかなかったから。
弁当はおいしくて、久しいぶりに食べた手料理に泣きそうになった。
「体しんどいのか?」
基本的に人の前では元気を装う間宮がこんなにも弁当を残すとは思えなかったからこそ出た言葉だった。だが間宮はいつもの笑顔で「どうして?元気だよ」と答えた。
その手が小刻みに震えていることに俺は目を瞑り気付かないふりをした。
だって完璧なこいつに俺なんかが出来る事はないから。
間宮が転入してきて一カ月がたった頃だった。
俺は帰ってきてすぐ疲れて眠ってしまい、夜の10時に目が覚め夕飯を買いに近所のコンビ二へ行っている時だった。
泣いている間宮を見たのは。
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