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雨の夜が始まった
暗い公園で泣いている間宮を俺はいつの間にか抱きしめていた。
俺がされたかった事。そしてされることがなかった事。
間宮は背中に手を回し静かに泣き始めた。
小さな赤ん坊はその間も泣き続けていた。
やっぱりお前は完璧なんかじゃなかったんだよな。
泣き終えた間宮の体からは力が抜けて行った。
「間宮 家どこ?」
そんな俺の言葉も届かない程に疲れてしまった間宮をなんとか家まで連れて行き布団へ転がした。
別に間宮はどうってことない。
1番は2人の赤ん坊だ。兄弟なんていなかったし抱き方もよく分からない。
何を食べる?牛乳か?
そんな事を考える光だが、光が特別下手なわけではない。
なんの知識もない男子高校生に赤子の世話は難しいものだろう。
しかも兄弟もいないそんな彼には小さな子供と接する機会なんてなかったのだ。
「座布団でいいのか?でもソファーじゃ落ちるか?水って飲むかな」
コップに少量の水を注ぎ口元まで持っていけばごくごくと水を飲んでいく。
その様に光はやっと安堵の溜息をついた
結局ソファーに寝かせ光はその夜2人から目を離す事が出来ず眠ることは無かった。
この日が光と秋を大きく変えることになるのだ。
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