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「こんなトコに金使えるんだな、国って。余裕かよ」 俺は、ポツリとこぼす。 国保有の土地ではないのかもしれないが。 だが、レンガのその小さな区切り目には、砂がたまっているようだ。茶色くくすんでいる。 空がビルとビルの隙間にちらりと見えた。 青空、ではなかった。かなり分厚い、危ない感じの雲がたれこんでいる。 「……………」 俺の頭には一瞬不安がよぎったが、首を振って打ち消した。 力強く、黒いバッグを振る。 服は私服である。 さっきのバイトの服でウロウロするわけにもいかないからね。 相変わらず東京の人は多い。 何人もの……、サラリーマンっぽい服装なんだけど、この時間帯に外をうろつくモンなんだろうか。いろんな職業があるんだなぁ。 十字路の信号は赤に染まっていたので、止まる。 そこで時間ができたので、自分のお腹あたりを触った。 うーん、これは痩せ過ぎじゃないかな。いや、これくらいでちょうど良いのか? 心配になって、スマートフォンをまた取り出し、相手の外見と見比べる。 いやぁー、自分がどう見えるか分かんないから、なんとも言えないな。こりゃダメだ。 目の前で、人や車達が一本の太い川の流れとなって、ずんずん通り過ぎていく。 黒い車から、小さくロックミュージックが漏れていた。
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