最上 雛人

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最上 雛人

ここ最近、雛人(ひなと)がヤバい・・・。 最近と言ってもここ2日ほど前から・・・。 「あ~・・・友利(ともり)先輩ぃ~・・・」 またはじまった・・・。 俺は隣をとぼとぼと歩いてる超絶美麗のイケメンにそれとなく視線を向けて、それとなく微笑みかけてみた。 当然、それに返ってくる微笑みなどない。 「友利先輩も頑張ってんだからお前も頑張れよ。あと2日だろ? そしたらまたいつも通りだろ?」 俺はそう言ってその超絶美麗のイケメンの背中を軽くポンポンと叩いてみた。 軽く叩いたその背中は相変わらず細かった。 「その2日が俺にとってどれほど長いかお前にはわかんないだろうな。・・・クソ童貞」 「いや・・・俺・・・童貞じゃねぇから」 俺は真面目にそう返して苦い笑みを滲ませた。 今日も朝から天気がいい。 俺はゆっくりと真夏の空を仰ぎ見て、ごく自然に微笑んでいた。 「雛人。見てみろよ! すげぇ入道雲! やっぱ夏だな!」 俺はそう言いつつ真夏の空に浮かんだ大きな入道雲を指差した。 「入道雲? ・・・どうでもいい。俺、夏は苦手だから」 コイツは相変わらずマイペースと言うか何と言うか・・・。 俺はもう一度、雛人の細い背中をポンポンと軽く叩いて微笑んだ。 「じゃあ帰りに俺がアイスでも奢ってやるから! な? 元気だせ! な?」 俺がそう言って笑っても雛人は笑わない。 それどころか返事もしない。 「春海。俺にもアイス、奢って?」 そう不意に後ろから聞こえたその柔らかい声に俺はホッとさせられた。 咲良(さくら)だ。
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