1人が本棚に入れています
本棚に追加
そういった内容の口述であるにもかかわらず、概念的な意味合いで受容していました。あるべき義として彼女に何か懲罰を付すなどは俗ぽく思えたのです。でも、矛盾も存在していました。そう、私の意識の中に。彼女は、今ここで破壊されるべきではと。私は単なる正義感からそう考えたのではありません。とある空想が思い浮かんだのです。けたたましい焔に彼女が包まれるという。
むしろ彼女もそうならんと望んでいるのではと考えました。実は先ほどから指先に何かが触れていました。冷たい金属の感触です。そう、手にしていたスプレー缶でした。そうか、これからあの様な空想へと繋がっていったのでしょう。
こうなればもはやこうするほかはなさそうです。吹き付けました。その蝋燭の炎に向けて。そして、それは同時に彼女の顔面にも向けることでもあったのです。まさに火炎放射器の様でした。炎が彼女の顔へ浴びせられました。
「ウォーッ!」
男の声?いやありえない。心の中でこんな会話がされました。床には蝋燭が落ちてました。火は消えてなかったのです。私は作業台に載せられていたキャンバスをそれにくめました。すぐに引火し炎は大きくなりました。そして手にあったスプレー缶だけでなく作業台にあったものも同様に火の中に放り投げたのです。
最初のコメントを投稿しよう!