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もっとも、一番知りたかった理由は示されませんでした。なぜウインドウに置いたかという。でも、このタイミングでそこを糾すのは危険に思われて出来なかったのです。それどころか“性転換手術を受けていらしたのですか?”と聴くまでもないことを尋ねてしまう有様でした。思考がまとまらなかったからでしょう。しかも、この状況を男性に戻ったと考えるべきか迷いました。もちろん、外観は男性に戻ってはいるものの、まだ、意識としては女性なのかと想像が浮かんでいたからです。だけど不思議な空間でした。焦る気持ちがありつつ、こうやってこの男との会話をだべり続けたいという。安心感とはいかないまでも、警戒心は幾分か和らいでました。そうして核心ともいえることを尋ねることにしました。
「確か、『お待ち致してました』と。」
「どうしてもあなたに聴きたいことがあって。あのとき、私に殺意を懐いてらしたかどうか?」
「それはありませんよ。」
「でも死んでも構わないと。」
そうです。検事が述べていたことです。
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