すべてはあの時から

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 不覚にも想像してしまったのです。つまり、男が自分の陰茎を切断する情景を。そして、自身の局所にありえない痛みを感じる次第となったのです。でも、そうなったばかりに男がこのテーブルに近づいていたのを気付かずにいました。既に、私のすぐ側にいました。もちろん、手には包丁を持ったままです。私は椅子を引き男に体を向けました。ただ、男はそんな私を一瞥するでもなく、先ほどの絵に視線を落としていました。そうです、あの日買おうとした絵です。それを黙して見つめていました。でも、突然でした。キャンバスを包丁で切り裂いたのです。 「そう、この絵からよ。これを描いたばかりに。」  驚くべき光景でした。女性の話言葉になっただけではありませんでした。声も女性の声になっていました。そう、あの日、私を殺害しようとした、完全に女だったときの声です。その為か、記憶が蘇り、同様な現象が生じました。あの有害ハーブに冒され意識が朦朧とした状態です。でも、このままだと危険であることには変わりありません。気を確かに、そう鼓舞し、男でも女でもあるそいつの様子を見ました。     
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