すべてはあの時から

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 もし、妖艶さだけしか感じなかったなら、何も迷うことなく其処を発ったでしょう。でも、先ほどと同じ笑みをたたえていました。私は感じたのです。母性を。そう、醸し出されるそれを。まるで、思わず年長の女性に甘えてみたくなる様なそんな感じでした。一方で彼女は私の肩にしなだれ、頬を寄せていました。ところが全く作為的なもの無かったのです。それどころか自身も呼応し同じく頬を寄せる次第にとなっていました。まさに浸りきっておりました。不思議でした。時間が停まった様な感覚に陥りました。
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