第3章 針のない時計

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 火曜日。  学校の在宅授業の時間には、専用タブレットからログインして出席状態にして、あらかじめ決めてある机に固定しながら授業を受ける。移動したり他の事をすることは、基本ダメ。カメラでお互いの姿を視ながらの通信授業だ。四人グループで受けるから、知らないのが三人と担当教師が画面の四隅にいる。当たり前だけど真正面を向いて喋るから、カメラ目線的な感じになってちょっと緊張したりして。  俺は視線が怖いのだろうか。  名前と顔も覚える気がない三人が、順番に発言する様子を見ながら、皆それぞれ主張や思想があるんだなってことに気付いた。  上の空で流す程度にしか向き合ってこなかった授業が、今日はなぜかちゃんと参加している俺。  ヤル気スイッチ入りっぱなし。
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