4 インド編

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「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でしょうか?」 「あぁ、ヴィンセント・ドラクレスティだ」 「ドラクレスティ様ですね。21階のスィートになります」 「ありがとう」  鍵を預かって荷物を運びこもうとしたら、案の定受付嬢から声がかかった。 「え、あ、ドラクレスティ様。恐れ入りますが、そのような大きな荷物はちょっと……」  フロントのお姉さんが困った顔をして制止する。  このホテルには入った時から思っていたのだが、他のホテルに比べて異様に警戒が強い。  今の所棺とはばれていない様だが、布のかけられた大きな箱を見ると普通は何を想像するだろう。  ミナにはよくわからなかったが、クライドは即答で「そりゃ銃だろ」と言ったので、それを踏まえて考えるとお断りも納得だ。  しかし、こちらは断られては困るのである。中身は空っぽの棺なのでご勘弁願いたい。 「問題ない」 「大丈夫だってー!」 「武器とかじゃないってー!」  押し切る気だ。少し半目になったが、思いついてヴィンセントに耳打ちした。  ミナの提案で妥協することにしたようで、ヴィンセントはおもむろに受付嬢に近づいた。  いきなり美形のナイスミドルイケメンが顔を近づけてきたので、少し顔を赤らめて戸惑う受付嬢。その受付嬢の瞳を鋭く捉えて、ヴィンセントの目が怪しく紅く光る。 「部屋に荷物を運びたい。構わないだろう?」 「……はい」 「そうだ」 「はい……どうぞ、ごゆっくり」  魔眼の効果で大成功。意気揚々と荷物を運んで貰った。 「ていうかさー、ベトナムの時もそうすりゃよかったんじゃねーの?」 「しーっ! クライドさん、今更それは言っちゃだめ!」  案の定睨まれた。  客室の扉を開けると、思わず絶句するほどの空間だった。高価そうな調度品、高級感あふれる建築様式の部屋、海が見渡せるバルコニー。  とても広くてとても豪華。さすが世界でもトップクラスの高級ホテルだ。 「ヒャッホー!」  ベッドに飛び込むボニーとクライド。この二人のはしゃぎっぷりは何回見ても辟易する。二人はひとしきりベッドに感動した後、イチャイチャし始めてしまった。 「ボニー愛してるよ」 「クライド……」  ミナ達は静かに寝室のドアを閉めた。
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