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「ミナ、行きなよー」
「ボニーさんが行ってくださいよ」
「嫌だよ。ミナ得意じゃん」
「得意じゃないし! ボニーさんの方が得意でしょ!?」
二人でキャッキャやっていると門番がミナたちに気付く。
「ほら、気付かれたじゃないですか。ボニーさん、ほら」
「ミナ行きなってー」
「んもー。あのーすいません。ちょっといいですか?」
「なんかぁ、この子が、お兄さん達が超かっこよくてヤバいとか言ってるんですけどー」
「ちょっ! 私言ってないし!」
「ねぇ、お兄さん達、あたしたちと遊んでくんない? キャー言っちゃった!」
門番は顔を見合わせて、まんまと引っかかる。門番二人を連れて、物陰へ。前回同様、隠れていた3人が取り押さえる。
「ていうか、俺、今の見ててなんか腹立ったんだけど」
「妙に癇に障ったな。私ならあんな女にはほだされん」
化け物系男子には不評だった。
「ま、まぁいいじゃないですか。結果オーライですよ」
「そーだよー。頑張ったんだからー」
セルフフォローにヴィンセントは溜息を吐きつつ、門番から情報を引き出した後に早速指示を出す。
「さて、こいつらによると、最上階の北側の部屋がスレシュの部屋だ。今回は先にこいつを押さえておこうと思う」
「でも、最上階って、4階まであるぜ? どうすんだ?」
「私か、ミナで飛んで先回りする」
「私に行かせてください!」
突然声を張り上げたせいか、みんなの動きが停まる。
「……なるほどな。そういうことか。いいだろう」
ヴィンセントは私の思考を読んで勝手に納得してしまった。
「いや、ていうか俺らにも教えて欲しいんだけど……」
勿論だ。むしろヴィンセントに読まれた事の方が予想外である(まだ慣れない)。
「私の考えは、無駄な殺戮をしないように交渉することです。私とみんながそれぞれ同時に攻めて、私が交渉役をしますから、スレシュが投降してきたら攻撃をやめてほしいんです」
ミナの考えを聞いた3人は顔を見合わせて「じゃぁそれでいこう」と、考えに賛同してくれた。
「よし、ではまず、ミナが屋敷の屋根に先に潜伏しておけ。私の合図で同時に突入する。いいな」
「はい!」
「では、行け」
ヴィンセントの言葉を合図に飛び立つと、見つからないように少し大回りで飛んで、屋根の上空を旋回して様子を窺う。
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