4 インド編

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「おい!」 「ちょ! ヴィンセントさん!」  シャンティと二人で顔を見合わせて、はぁ、と小さく溜息を吐き、傍に転がっている男達を助け起こす。 「ごめんねぇ。あの人、言い出したら聞かないから。とりあえず手当もしたいし、一緒に来てくれない?」  シャンティはブツブツ言いながら、仲間の一人を抱えて立ち上がった。  ミナとクライド達で2、3人ずつ伸びてしまった人たちを抱えながら歩く。この際手ぶらで帰って行ったヴィンセントが憎い。 「アンタら、その馬鹿力なんなの? 妙に強いし、何者だ?」  両脇に男を抱えながら歩くミナの隣で、シャンティは不思議そうにジロジロ見渡す。 「え? な、なんだろう? 修行の成果かな? ハハハ」  適当に笑ってごまかした。しばらく歩くと屋敷が見えてきた。一息吐いて門を開けようとすると、シャンティが激しく狼狽えだす。 「お、お前ら、スレシュファミリーか?」 「違うよ?」 「じゃぁなんでここに……」 「譲ってもらったの」 「は? じゃぁファミリーの連中は?」 「追い出しちゃったから、もう私達しかいないよ」  シャンティはただでさえ大きな瞳を、更に目一杯開いた。 「はぁ!? どういうことだよ!」 「まぁまぁ、詳しい話は中でね」  興奮するシャンティを宥めて、家の門をくぐった。  エントランスを抜けて広間に入り、未だ気を失っている人たちをソファに横たえる。シャンティと気が付いた少年は、「おぉー」と言いながら室内を見渡している。 「遅い」  ヴィンセントが文句を言いながら階段を下りて来た。遅いと言うなら手伝えと思ったが、ヴィンセントは広間に下りてくるとソファに腰を下ろす。 「ミナ、そいつらの手当てをしてやれ」 「はい」  殆どの人にはたいして外傷はない。擦り傷をこしらえた人達に消毒をして絆創膏を貼っていく。問題はミナが脱臼させてしまった少年。 「うぅ……イテテ」 「ご、ごめん。どうやったら治るのかな……」 「どきな」  急にシャンティが間に入ってくる。シャンティはその少年の腕を持って、無理やり押し込んだ。 「ギャァァ! 痛ェ! もっと優しくできねぇのかよ!」 「治っただけ良かったろ」  シャンティはそのままソファに腰かけてしまった。 「あ、ありがとう」 「別に」  肩が治った少年には氷嚢を持たせて肩を冷やしてもらった。
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