4 インド編

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「あたしたちの意見は無視かよ。お前らの下になんかつかねぇぞ」 「……」  完全に無視で、視線は本の文章を追いかけるのみだ。仕方がないのでフォローに回る。 「あ、あのさ、衣食住の保証もするし、危ない仕事とかヤバいことじゃないちゃんとした仕事も与えるよ。今までとは違ったまっとうな生活ができるよ。あなた達には損はないと思うんだけど、それでも嫌?」  シャンティは悩んでいる。今まで誰の下にもつかないで自分たちだけで頑張ってきたプライドもあるだろう。  でも、生活が安定するならそれに越したことはない。 「シャンティ、お前が決めたことなら、俺たちは着いて行くぜ」  少年の一人がそう告げ、他の少年たちも頷く。それを見て、彼女は決意したように顔を上げた。 「わかった。これからアタシ達はアンタの下で働くよ。だけど、最後に一つだけ、質問を許してくれ」  ヴィンセントは彼女の言葉に本から視線だけを上げる。 「なんだ」 「アンタ達、一体何者なんだ? マフィアにも見えないし、一般人でもない。一体なんなんだ?」  彼女の質問を受けて、ヴィンセントは再び本に視線を戻す。 「マフィアでもないし、所謂ヤバい人間でもない。ただの通りすがりだ。詳しい事は、今は教えてやる事は出来ない。時期が来たら話す」  シャンティは納得できないような顔をしていたが、いつかは話すという言葉を信じたのか、無理やり疑問を飲み込んだ。 「じゃぁ、今日はもう遅いし、とりあえず休んでもらえば?」  ボニーが言って、クライドとメリッサもそうしろと言った。 「ミナちゃん、部屋割りはどうするの?」 「うーん、空いてる部屋数は19で、彼らは1.2.3…7人か。一人一部屋行けます」 「2階と3階で分けるか?」 「好きに選んでもらっていんじゃない」 「そうですね」  話し合いを終えてシャンティ達に振り向いた。 「じゃぁ、部屋に案内するから、着いてきて」  ぞろぞろと引き連れて2階に上がる。 「このフロアと3階のフロアの好きな部屋を使って。私達は4階に部屋があるから、何かあったら4階に来てね。でも基本4階は立ち入り禁止。今後のことについてや詳しい事は、明日の夜また話すから、今日はもう休んで。では、解散」  パンと手を鳴らすと、みんな相談しながら部屋の中へ入っていった。
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