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「へぇ、
あんたが…、
失礼、
君が作ったのか、
すごいね」
「いや、
友達に手伝ってもらった。
ワタシこういうのあまり得意じゃない」
確かに、
得意だと言われる方が違和感があっただろう。
が、
なんにせよ、
ありがたいことだ。
カワイイ娘にそんなことをされたから、
というよりも、
もっと純粋にホワッと暖かいヒーターが心の中で灯ったような気分に久しぶりになれた。
だから、
一緒にここで食べたい、
と思った気持ちもすごく素直なものだったような気がする。
が、
時計は既に夜の十時を回っている。
仮にそんなことをして給油客の誰かがけしからん、
とタレこんだら私はおろか、
警備会社の契約が打ち切られても文句は言えない。
何より、
こんな時間で制服でうろうろしていることを窘め、
一刻も早い帰宅を促すのが大人というものだろう。
「ここで、
一緒に食べよ?」
その時、
初めて見せるはっきりとした笑顔で彼女がそう言った。
語尾が疑問形に「?」と持ち上がっているのにおっさんは冗談抜きで目眩を感じた。
いやいやいや、
いかんいかん、
とそれはたしなめた。
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