「さめ」から始まる恋物語

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「さめ」から始まる恋物語

 スマートフォンの着信音で起こされるってのは最悪の目覚めだ。その内容が別れ話とかだったらもう、その日一日を乗り切る気力すら奪われる。俺はまさに今朝、そんな目覚めを体験した。はっきり言おう。最低最悪の気分だ。  俺には彼女がいた。高校時代にできた、地味だけど可愛い子だった。俺も向こうも初めてできた恋人で、随分舞い上がったものだ。といっても、高校時代には一線を越えてはいない。キスはしたけど。  大学へ進む段になり、別々の土地で、それぞれ一人暮らしを始めることになった。月一でデートはしていたけど、会う頻度は減った。けど、それはそれで毎回新鮮な気持ちになれるっていう利点があった。地味だった彼女は、だんだんとオシャレになっていった。ただ、綺麗だと思った。そう言ったら彼女も凄く喜んでくれた。程なくして、体の関係にも無事に進んだ。大学を出たら、地元に戻って一緒になろうなんて話もしていたから、俺も油断していたんだな。 「愛が冷めてしまったの」     
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