第1章

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第1章

サー・ロイン。  肉にも「サー」の称号が与えられているのだから、ネコにも爵位があってもよいのではないかと思う。癪なので、自称ぐらいは「余」と呼ぶことにした。  黒猫君は知らないが、余は狐とたいそう仲が良い。これもバロン男爵のおかげである。バロン男爵はブルー男爵の屋敷に住むネコである。本当はバロン・ヴィルヘルム2世というらしい。ブルー男爵はダークテイルに狙われている。どこへ行くにも必ずSPがついてくる。  黒猫君がスイカを食らっていると、 「すぅぅぅぅぱぁぁぁぁ!!」 と叫びながら、ツァンが水鉄砲を向けて黒猫君を襲ってくる。見事にかわすと、まだ幼いピロミンが被害を受けるのである。  すると豆腐屋のまめどんがツァンの家を訪ねてきた。 「まいど!」 ツァンが応じる。 脇にはレクシス捜査員までいる。どうやら、ダークテイルの一味が近くに潜んでいるらしい… 突然、ブルー男爵の屋敷の方角から大きな爆発音がした。途中で遭遇したバロン男爵の話しでは、ブルー男爵は無事らしい。 ほっとしてツァンの家に戻ったのも束の間、ピロミンがいなくなっている。 爆発はおとり、だったのだ。  レクシス捜査員によると、ダークテイルはクロミン王の王位継承でもめていて、クロミン王の実の娘であるピロミンを跡継ぎにしようという動きがあるらしい。 「黒猫君、ピロミンの匂いは追えるか。」 「大丈夫だよ。」 それを聞いて、バロン男爵がステッキでトンッと地面を叩くと「狐バイク」が出現した。黒猫 君は乗れないので、余がおんぶしていく…… 「黒猫君、少し重いぞ。」 「重ーくーなーい。」 冗談はさておき、前方にダークテイルのバンが見えてきた。とりあえず追跡する。すると後方からものすごいスピードでまめどんの車が追ってきた。運転席にはレクシス捜査員、横ではツァンが身を乗り出して、水鉄砲を構えている。 「すぅぅぅぅぱぁぁぁぁ!!」 何の迷いもなくツァンが水鉄砲を放つ。 「ちゅどーん。」 バンが勢い良く横転した。どうやらバロン男爵の魔法らしい。 ツァンは目を丸くしている。 レクシス捜査員が本物の銃を持って、バンに近づくとダークテイル兵がピロミンを抱えて出てきた。空高く持ち上げると、どこからかやって来たドローンがピロミンの小さな体をがっしりとつかんで連れ去ってしまったのである。
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