第三章  ー 北行 ー

16/40
92人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「南部家と対立する同士で組むというのは解ります。しかし北部王家には、軍用金はあれど兵力が無く、安東家は出羽の名族と言えども、今は本拠を追われ、こちらも戦力が無い。これではとてもではないが、勢力伸張の只中にある、南部家には対抗出来ないのではないですか?」  すると義祥はニヤリと笑い、 「さすがは若狭武田家次期当主ともくされた信廣殿じゃ。予の目に狂いはなかった」  そう言うと、季繁に目配せし、季繁が続けて情勢を語りだした。 「それでしたら、こちらには算段がござる。こちらにおわす安東師季さまは、出羽の名族でもございますが、もう一つの顔もござる」 「もう一つの顔!?」 「鎌倉幕府から続く、蝦夷管領家(えぞかんれいけ)でござる」 「え、蝦夷!? 管領?…」  信廣は、全く想定していなかった名称、地名が出てきて、一瞬言葉を失った。  エゾ… エミシならば、律令の時代に朝廷と戦争をしていた異民族であったが、エゾはエミシとは字が同じ「蝦夷」だったが、住む地域も違う。古代エミシとの関連性は、現在の歴史家の間でも研究中ではあるが、謎の部分が多い。  であるので、この頃の信廣や日本人にとっても、謎の存在であっただろう。     
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!