処女作

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僕の部屋のベランダから、ソレは見えた。 ソレが、僕には何であるのか。どうしてそこにソレが存在していて、何故…こんな形をしているのかすら。僕には、分からなかった。 白い服を着た、少女がそこには居た。 向かいのマンションの部屋の中に、囚われた少女が居た。カーテンの隙間から少女の姿が見える。空間を隔てて見える少女は、あまりにも儚く美しかった。 病的な少女。 僕の体の中にある、性欲を掻き立てるには十分な存在だった。手を伸ばしても、触れられず声も聞こえない。 異常者の様に眺める事しかできないのに、僕の中の性欲は満ち足りていく様な錯覚を生まれる。 これは、ある種の愛情。 僕は、この感覚が愛情だと言うことを知っている。 抱いて、犯して、それで満ちていく性欲とは違う。ただ、愛でることで満ちていく愛情。まるで、AVを見ているような感覚。 欲しいけど、手が届かず手に入れりことも出来ない…その感覚が、堪らなく僕のことを興奮させる。 少女は、囚われている。 手を縛られて、自由に動く事を許されない少女。 少女は、捕まっている。 これは、僕の想像に過ぎない事なのだけど。少女は誘拐されて、辱しめられているのだろう。そうであって欲しい、これは僕の願望だった。 手首に、包丁で線を引き、痛みを感じ血が帯びることに悦びを感じていた僕に、新しい快楽が出来た。 少女の生活を覗く事。 ベランダに立ち、少女の姿を眺めるながらいろいろな事を考えた。少女の生活を覗きながら、僕は何をしよう。
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