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観察日記を付けるのも良いだろうし、彼女を主人公にした官能小説を書くのも楽しそうだ。
僕は、何をしよう。
ベランダと、自分の部屋を眺めながら僕は考えていた。彼女をあの儚い姿を残す方法を。
記録をつけよう。
8mmビデオで、リアルな少女を映し囚われた証を僕が残そう。
少女は、僕だけの女優だ。そして、このビデオが僕と彼女の処女作になる。僕は、埃を被ったハンディカムと三脚を押入れから出し、ベランダから少女が居る部屋へとレンズを向けた。
さぁ、君の映画を撮ろう。
僕は、届かない彼女へと始まりの合図を口にした。そして、ビデオを回し始める。
何か、事件が起こる事を望んでいる訳じゃない。彼女が、どんな風に生活をしているのか。僕は、ただそれが知りたいたかった。
彼女の部屋には、もう一人居る。それは、彼女を捕えた『犯人』。
男と思われる『犯人』は、彼女に食事を与える。縛られている彼女の前にお皿は3枚。それが、彼女の食事だった。犬の様に、這い蹲って食事に貪りつく彼女。口の周りを汚しながらも、食べるのをやめない。そんな下品な姿すら、僕には美しく見えてしまう。
そして、その汚れた口のまま『犯人』と口づけを交わす。
僕がおかしくなる。
これは、何なのだろう?
僕の心が、苛立ちでどんどん満たされていく。これは、何なのだろう。
僕は、爪を噛み続けていた。
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