処女作

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触れたいとは思わないのに、どうして僕の心がこんなにも苛々しているのだろう。 見ているだけで、満たされているのは本当なのに。僕は、逃げることも出来ずに彼女を映し続けるビデオを見続けていた。 僕だけの女優が、ゆっくりと汚されていく。 これは、ある種の恋なのかもしれない。 そして、僕は『犯人』に嫉妬している。 嫉妬し、苛立っている。それなのに、僕の心の中が喜びで満たされていくのも事実だった。 これは、何なのだろう。何故、こんなにも心が満ちていくのだろか? 遠く離れた所で、彼女が壊されていくのを見ているしかないのに楽しいと感じている。 嫉妬という感情の裏で、僕の体を喜びという感情に侵されていくのが分かる。 これが、僕の恋なのだろう。 それでも、僕は彼女と言葉を交わすことはない。いや、彼女が僕に気づく事などありえないのだ。それは、寂しい事なのかもしれない。それでも、僕には楽しくて仕方がなかった。 これから、僕は嫉妬と快楽を持ちながら彼女の記録し続ける。
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