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「今日、送ってやれないけどへーき?」
鍵を施錠し終えた、申し訳なさそうな相川さんの声色。
この後、加瀬さんとの約束があるから言ったのだろう。
それに対し、「いいですそんなのっ」と、手と首を横にぶんぶん振る。
「むしろ、歩いて帰るのが当たり前なんで……。
逆にすみません、いつも送ってもらっちゃって」
一応断ってはいるが、なんだかんだ相川さんにはいつも送って行ってもらってるのだ。
これ以上お世話になったら、バチが当たってしまう。
「いいよ、そんなのは別に。
それよりも」
言いかけて止まる。
不思議に思いつつも次の言葉を待つが、「やっぱいいや」と有耶無耶にされてしまう。
「また今度聞くわ。
じゃ、気をつけて帰んなよ」
………なにを?
曖昧にしたまま、相川さんは駐車場の方へと消えて行ってしまい、疑念だけが胸の中に残った。
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