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「………なんで」
なんでここに?
そればかりが頭の中を駆け巡る。
この様子、偶然だとは思えない。
多分待ち伏せしてたんだ。
いつもは店の前なのが、なんで今日は帰り道なの……?
「え、えへへ。
改めてご飯お誘いに来ちゃいました」
私が聞きたいのはそんなことじゃない。
見当違いなその言葉に、言いようのない恐怖が肌を粟立たせた。
「営業中だったからいけなかったんですよね?
お店が終わった今なら、い、いいですよねっ?」
興奮しているのか、じりじりとにじり寄ってくるお客さん。
そのぶん後ずさっても、構うことなくどんどん距離を詰めてくる。
「ね? さ、咲さん。行きましょうっ?」
「……い、行かないです。すみません」
態度で分からないなら、もう口で示すしかない。
そこで、お客さんの足はやっと止まった。
しかし、私とお客さんの間には、僅かな距離しかない。
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