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「ぼ、僕を弄びやがって。
ど、どうせ、馬鹿にしてたんだろ、僕のことぉ!」
違う。
そんなつもりなんか毛頭ない。
否定したいのに、ギリリ、と肩を掴む手がそうさせてくれない。
「あ、あいつらのことだって、そんな純粋そうな顔して、弄んでたんだろ?
ば、馬鹿にしやがって……っ!」
「ちがっ……!」
「う、うるさい!」
どん、と思いきり突き飛ばされ、そのままアスファルトに雪崩れ込んでしまう。
咄嗟に起き上ろうとするものの、足に痛みが走り、上手く立ち上がれない。
「ちょっとは、思い知ればいいんだ……。
ぼ、僕がどれだけ傷つけられたかを」
……完全に我を忘れてる。
へへ、と笑うその人は私の腕を掴み、そのまま引きずろうとする。
「は、離して……!」
「だ、黙れっ!
僕がどれだけ傷ついたのか、今からお前にも味わわせてやる!」
男は、ただでさえ人通りの少ないこの道から、更に暗い道に引きずり込もうとする。
必死に抵抗するが、それより遥かに上回る力で抑えつけられる。
……だめだ。
どう足掻いても敵わない。
もう、無理だ……!
───と、覚悟を決めたその刹那。
目の前の男が、いきなり吹っ飛んでいった。
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