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………え?
突然のことで、頭が着いていかなかった。
なんでこの人は地面に突っ伏していて、
「何してんの、オッサン」
───どうして、相川さんが、その人に掴みかかっているのか。
訳が分からなすぎて、逃げなきゃ、という意志すら湧き上がらなかった。
「な、なんだよ、お前っ。
は、はな、離せよぉ!」
「うるせーよ」
言い切ると同時に、男の顔を思いっきり殴る相川さん。
「あぐっ」と声を上げ、吹っ飛んだ男は、敵わないと思ったのかその場から逃げようとする。
しかし、相川さんはそれを許さなかった。
相川さんは男の胸ぐらを掴み、私を一瞥する。
「……なあ。
オッサン、あの子に散々好き勝手やったんだよな」
「ひ、ひいっ……!」
「必死に足掻いて、抵抗するあの子に……アンタ、なにしようとしたんだよ?」
「ぼ、僕が悪かった! だから」
「見逃してくれって?」
コクコク、と懸命に頷く男に、ふっと笑みを落とす相川さん。
「無理だよ」
そう言って、もう一発、男の顔に拳を入れた。
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