5. 「馬鹿」と「イイコ」

57/71
前へ
/273ページ
次へ
……どうしてそんな顔するのか気になったが、それよりもっと気になることが私にはあった。 「ところで……助けてもらっておいて何なんですけど、どうして相川さん此処にいるんですか?」 今頃、加瀬さんといるはずじゃ。 そして、相川さんが此処にいるなら、加瀬さんは今何をしてるのか。 冷静になってきたからか、色んなことが疑問に思えてきた。 「あー、それね。 てか、俺も聞きたいことめちゃくちゃあんだけど。 さっきのアイツのこととか」 「あ……そうですよね」 やっぱり、そこは話さなくちゃいけないよね。 ……こんな大ごとになったんだ。避けては通れない。 「とりあえず、ウチ寄んない? 手当てしなきゃだし」 「えっ!?」 「え、なに? なんか問題ある?」 思ったより私の反応が大きかったのか、目をパチクリさせる相川さん。 「い、いや、そんなことまでいいです、大丈夫ですっ」 助けてくれただけでも感謝なのに、更に手当てまでしてもらうとか……。 至れり尽くせり過ぎて、本格的に天罰が下りそうで、なんか怖い。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

599人が本棚に入れています
本棚に追加