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「……なんか変な遠慮してない?」
「いや……だって、そりゃあしますよ。
助けてもらった上に、手当てしてもらうわけには」
「あー、うるさいうるさい」
うんざりと言いたげに、私の言葉はシャットアウトされてしまう。
「路駐したまんまなの忘れてた。
車持って来るから、待ってて」
「え、いや、あの」
「足挫いてんじゃないの。
さっきから庇ってんのバレバレ」
図星を突かれ、っ、と言葉に詰まる。
てっきり、さっき引き摺られたときの擦り傷を手当てする、って言ってるのかと思ってたけど。
……気づかれてたんだ。
バレないようにしてたのに。
何処までもお見通しなのか、この人は……。
何も言えなくなった私には、大人しく待ってる、という選択肢しかなかった。
それに満足そうに笑い、相川さんは車を取りに行く。
そして1分も経たない内に戻ってきた。
「大丈夫? 乗れる?」
車から降り、足を上げてた方がいいから、と後部座席側のドアを開けてくれる相川さん。
「すみません……」ともう何度目か分からない謝罪をしながら、車にお邪魔した。
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