5. 「馬鹿」と「イイコ」

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「……なんか変な遠慮してない?」 「いや……だって、そりゃあしますよ。 助けてもらった上に、手当てしてもらうわけには」 「あー、うるさいうるさい」 うんざりと言いたげに、私の言葉はシャットアウトされてしまう。 「路駐したまんまなの忘れてた。 車持って来るから、待ってて」 「え、いや、あの」 「足挫いてんじゃないの。 さっきから庇ってんのバレバレ」 図星を突かれ、っ、と言葉に詰まる。 てっきり、さっき引き摺られたときの擦り傷を手当てする、って言ってるのかと思ってたけど。 ……気づかれてたんだ。 バレないようにしてたのに。 何処までもお見通しなのか、この人は……。 何も言えなくなった私には、大人しく待ってる、という選択肢しかなかった。 それに満足そうに笑い、相川さんは車を取りに行く。 そして1分も経たない内に戻ってきた。 「大丈夫? 乗れる?」 車から降り、足を上げてた方がいいから、と後部座席側のドアを開けてくれる相川さん。 「すみません……」ともう何度目か分からない謝罪をしながら、車にお邪魔した。
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