5. 「馬鹿」と「イイコ」

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「……一人にさせらんないからね、こんなときに。 だから俺ん家に連行してるわけだけど、理解してくれた?」 何度も頷くと、バックミラーでそれを確認したようで、クスッと笑った。 それから直ぐに相川さんの家に到着した。 降りるときに「抱っこしたげよっか?」という申し出を丁重に断り、なんとか相川さんの部屋に辿り着く。 「どーぞ」 「お邪魔します……」 玄関を開けてもらい、中に足を踏み入れる。 相川さんの家に来るのは2回目だけど、ちゃんとした意識を持って入るのは初めてだから、少し緊張してしまう。 「じゃあ早速だけど、ソファー座って」 「あ、はいっ」 「……声上ずってるけど、緊張してんの?」 直ぐバレる。 ちょっとは知らない振りをしてくれてもいいのに……。 「2回目なのに、変なの」 「だって……前回はもうそれどころじゃなかったというか。 起きたら記憶ないし、見たこともない場所だし」 「ぶはっ、……そうだね、確かに」 笑いながら私の隣に座る相川さん。 そして、おもむろに私の右足を掴んで自分の足に乗せた。 突然のことに、抵抗する暇もなかった。
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