5. 「馬鹿」と「イイコ」

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「右?」 「い、いや、右足ですけど、一体何を」 「あんま下に向けると熱持っちゃうから」 「いや、だからって」 仮にも上司の足の上に乗せるわけには……! 瞬時に足をどかそうとするが、それは力で捩じ伏せられ、靴下までするりと脱がされる始末。 「こっちのがやりやすいんだよ。 つーか、あんま暴れると余計痛むよ」 「……だ、だってこんなの」 「うん、恥ずかしいだろうけど、我慢して」 ………地獄だ。 やってもらってるだけに本気で抵抗出来ないのが、余計にしんどい。 「……うわ、すげぇ腫れてんじゃん。 ここでしょ?」 くるぶし辺りを押され、鋭い痛みに顔が歪む。 それで察したのか、その患部の上に湿布を貼っつけられる。 じわぁ、と熱を持ったそこに、冷たさが広がる。 その上から手際良く包帯を巻き付け、足の手当ては終わった。
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