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それを聞いた相川さんは「……なるほどねー」と呟いた。
「嫌な顔するやつがいたの?」
「え……」
頭の中に一人の人物が浮き上がる。
無言で頷くと、相川さんは気に入らなそうに、頬杖をつき直した。
「……俺が思うのは、そんな少し頼ったくらいで嫌な顔するヤツの為に、前城さんが我慢する必要があんのか、ってことなんだけど」
予想もしていなかったことを言われた。
目を見張る私の顔を眺めながら、相川さんは続ける。
「人間関係なんてのは、ギブアンドテイクで成り立ってんだよ。
だれかが助けてくれれば、今度はこっちが助けてやればいいし、逆にこっちが相手を助けてやれば、その分の見返りは求めていいだろうし」
「……でも、」
それは、私が相手をちゃんと助けているなら、の話で。
果たして私は、見返りを求めてもいいほど誰かの助けになっているのだろうか。
そうでないのなら、元も子もないじゃないか。
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