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暫く涙が止まることなく、ひっくひっく、としゃっくりを上げながら涙を流し続けていると、
「下手くそな泣き方」
いつもみたいに、意地悪な相川さんが顔を出す。
「だ、だ、って……、泣くの、なんか、久し振りですもっ、ん」
上手な泣き方なんて分からないのだ。
そんな私に、相川さんはやれやれ、と言いたげに笑いながら私の涙を親指で拭う。
「馬鹿だね、ほんとに」
「し、失礼な」
「適当に甘えときゃいいのに。
なんで一人で頑張ろうとすんのかね」
「………だって」
「第一、ちょっと頼ったからって嫌な顔するヤツなんか、ウチの店にいねーと思うんだけど」
「それは……、冷静になってみると、そうなんですけど、」
「あー、やばい。また腹立ってきた」
ぐにぃ、と頬っぺたを摘ままれ、怒りをぶつけられる。
これが結構痛く、「いひゃいでふ」と痛みを訴えると、ざまあみろと言われてるかのように笑われる。
笑いどころじゃない。
睨みを利かすものの、相川さんにはそれは一切通じず、全然離してくれそうもない。
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