6. 不変と変化

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どうやら起こしてしまったようだ。 「すみません、起こしちゃいましたか」と相川さんの傍に寄る。 「……今、何時…?」 「えっと……9時前です」 時間を告げるものの、「……そ」とだけ返し、再び目を閉じる相川さん。 ……もしかして、意外に寝起き悪いタイプなのかな、相川さんって。 なんか、ちょっと可愛いような。 私の中の母性本能が騒ぎ出した。 にやけをなるべく抑えて、そのまま相川さんの寝顔を観察する。 寝顔って、一番油断してる表情なのに、相川さんは一切変なところがない。 肌も綺麗だし、睫毛も長いし……。 女子が憧れるものを全て持っている。 改めて、綺麗な顔してるんだなぁ、と再認識する。 「………なに見てんの」 寝ているはずの相川さんの目が突如開いた。 それに驚き、思わず「うわっ」と尻餅をつくと、相川さんは可笑しそうに笑う。
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