6. 不変と変化

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段々落ち着いてきたからか、洗面台を借りたかったことを思い出した。 出来ればお風呂も借りたいけど……。 「あの……申し訳ないんですけど」 「お風呂?」 ピシャリと言い当てられ、潔く「……いいですか?」と尋ねる。 相川さんはクスッと笑い、「どーぞ」と促した。 「別に勝手に入ってよかったのに」 「いや、自分の家じゃないのに……流石にそれは」 ……もう本当に、本っっっ当に今更だけど、此処は仮にも上司の家なのだ。 バイト風情の私が、好き勝手使っていいところではない。 「今更、って話だけどね」 相川さんもそれを思っていたようで、からっと笑われる。 おっしゃる通りで……。 どんどん小さくなっていく私。 「タオルとかの場所分かる?」 「あ、はい。大丈夫です」 本来分かってちゃいけないものなんだろうけど。 まあ、とりあえず許可も貰ったことだし、お風呂借りてこよう。 ちゃっちゃとシャワーを浴び、それから20分程でお風呂から上がった。
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