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「お風呂、ありがとうございました」
リビングのドアを開けると、相川さんはテレビを見ていたようで、「はいよ」と私を一瞥したあと、直ぐにテレビに目を戻した。
相川さんの隣に座り、私も一緒になってテレビを見る。
そうすると、相川さんは今度はテレビではなく、私をじいっと凝視した。
「……なんですか?」
「ん? なんか全然違和感ないなって思って」
違和感……?
どういうことだろう、それ。
どうやら顔に出ていたようで、相川さんは言葉を続ける。
「俺の家に前城さんがいるっていうのが、あんま違和感ないんだよね」
「……それって」
「彼女みたいだね」
「っ、」
完全に確信犯。
“彼女”というワードで、私が動揺する様を楽しもうとしてるのが、見え見えだ。
「彼女、って……。
相川さんが好きなのは加瀬さんじゃないですか」
「……まあ、そうだね」
「あっ、加瀬さんと言えば!
加瀬さんと約束してたんですよね?どうしてあの場にいたんですか?」
そう尋ねると、相川さんはどうしてか、打って変わって罰の悪そうな顔に変わった。
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