6. 不変と変化

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そんな俯く私を、相川さんは意味ありげに含み笑いをしながら覗き込んでくる。 「あ、なんだ」 「……なんですか?」 「泣いてんのかと思って」 少し残念そうなその言葉に、眉を顰めた。 「泣いててほしかったんですか?」 まるでそう言ってるように聞こえる。 相川さんは躊躇わず「うん」と肯定してみせた。 「泣いてる前城さん見るの、好き」 ……この人、小学生か何かなのか。 大人のくせに、時折子供みたいな発言するから酷く困惑してしまう。 って、違う違う。 今はそうじゃなくて。 「……私、真剣に話してるんですけど」 「ハハ、そだね。 まあでも、前城さんが今考えてることなんて、俺にとったらそんなもんってことだよ」 「え……」 どういうことだろうか。 声に出すよりも早く、相川さんはその答えをくれた。 「気にしすぎ。分かんないことがあれば誰だって聞きたくなるでしょ。 それのなにが情けないの?」 自己嫌悪で一杯になった心に、その言葉がじんわりと染み渡っていく。 なんでだろう。 相川さんの言葉は、不思議と素直に受け入れてしまう。
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