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「お待たせ」
それから少しして、テーブルの上に炒飯が置かれた。
どうやらこれを作っていたらしい。
ウインナーやらカニカマやら、色々入っている、何となく可愛らしい炒飯。
「なににやけてんの」
知らないうちににやけてたようだ。
慌てて口元を引き結び、平静を装う。
「いや、美味しそうだなって思って。
食べていいですか?」
「どーぞ、召し上がれ」
「いただきます」と炒飯をスプーンで掬い、口の中に入れる。
……美味しい。
仕事も出来る上に料理も出来るなんて、この人非の打ち所がないのか。
「ど? お味の方は」
「美味しいです。凄いですね、こんな美味しいの、ちゃっちゃと作れるって」
素直に賞賛すると、「そりゃどーも」とぶっきらぼうな言葉を返される。
「これ食い終わったら病院行こっか」
「え。……病院、ですか?」
私別に体調悪くないけど……。
そう思った矢先に、「足。捻ってんでしょうよ」と軽く睨まれる。
あ、そうだった……。
昨夜わざわざ手当てしてもらったって言うのに、頭からすっかり抜け落ちていた。
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