記憶を失った少女

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私には自分の過去を語る記憶と言う物がない。 解っているのはイヴという名前だけ… 何処で生まれてこれまで何をして来たのか…私と言う存在が一体何なのか?…その答えを知る術は今の所持っていない…ただ、気が付けばこの町シュベルツに辿り着いていた。 「シュベルツ…一体この町はなんだろう?」 その見た目の喧騒からそれが港町だと言う事は解るのだけれど人々の目に活気と言う物は感じられない…1人1人を観察して見てもただ真っ暗な世界が写り込むばかりで希望に満ちた目は誰もしていなかった、一体この町で何が起きていると言うの? 私はそんな事を考えながら町を歩いた。 意識が散漫としてる…この町に来てから負の意識が集中しているのか、私の頭の中にはそんなマイナスイメージばかりが流れ込んで来て周囲への警戒を怠ると言うミスを犯していた。 背後から自分に這い寄る連中に気付いた時は然程距離の無い位置での事…私はようやくそれを知るとその場に立ち竦み振り返る事なく声を上げた。 「私に何がご用ですか?」 すると、間を詰めていた1人がビクッと反応して答えを返す 「ネーチャン綺麗所だからな…捕まえて売り捌けば良い金の成る木になりそうだ、どうだ大人しく俺達と行かないか?良い思いさせてやるよ…なぁ?」 彼の連れて来た数名の男がいやらしく笑い賛同する、色欲と言う魔物に取り憑かれた彼等はどうやら私の身体を担保にして至福を肥やしたいらしい…でもそんな時に私の頭を声が駆け抜けた。 『対人防衛システム起動…全システムチャージオン…敵数7…これより戦闘モードに移行します、対人防御システムC~Aへ移行、攻撃システム対人想定Bをクリア近接想定速度Bへ移行、対人スキルマーシャル…全システム変換終了、一撃後にカウンター発動、敵数7を殲滅します』 (何?…どーゆー事?これはなんだと言うの?) 声が治るとまるで人格が変わった様な感覚に襲われた、更に距離を詰めてくる大男達に思う以外の声で警告を促した。 「私の周囲1メートル以内に近づくな…死にたくなければ直ちに立ち去れ!これは警告である!」 「んなチビに何が出来るんだよ、素直に言うこと聞きな!!」
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