記憶を失った少女

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男は警告を無視すると境界線を踏み込んだ。 『対象…警戒区域に侵入、これより排除します!』 瞬間、男に認識不可能な速度で懐に入り込んだ少女はその心臓を拳で貫いた。 「言った筈だ…警戒を無視すれば命の保証はしない…これは警告を無視した外道共への鉄槌、さらばだ無能な下衆め!」 更に心臓を貫いた腕を抜き開いた掌から光が発し既に事切れた大男を一瞬にして消滅させた。 彼の手下達は恐怖に慄き立ち竦む、だが、一度発動されたそれは瞬時にして彼等を消し去り跡形もなく塵と化した、全ての対象を消滅すると再び頭にさっきの声が流れ込む。 『対象排除完了、これよりノーマルモードに移行、全システムチャージを解除します』 やがて先程まで身体を渦巻いていた感覚は冷めていき何時もの自分を取り戻した…と、同時に少女は気を失う様にその場に倒れた…。 「あーあ、今日も手ぶらとは情けない」 「言うなエドニス…仕方あるまい、今日は奴等の作戦勝ちだ、被害がないだけでも良しとしよう」 「それはそうだがな………ん?」 「どうした、エドニス?」 「いや、アレは幻覚か?…道端に少女が倒れてる様に見えるんだが?」 2人の視線の先には異国の服を思わせる衣装の少女が倒れていた、それは先程8人を相手にして気を失い眠りについている様に見える。 アギレラがそれを見るなり血相を変えて走り寄るが見た所外傷らしきものは見つからず溜息を漏らす、そこへエドニスも合流すると寝息の様な呼吸の様な音が聞こえ 「生きてるみたいだが…此奴は妙だ、こんな服を着てる町民などどこにもいない」 「じゃあ、何処ぞから一人旅をして来てここで行き倒れた迷子か?」 「解らん…兎に角宿に運んで様子を見よう、目を覚ますかも知れない、そしたら話を聞いて見よう」 「そうだね…あんた持って行くかい?」 「しかし、女の子の身体に触れるなど、子供とは言え適正ではない、一先ずアギレラ…頼む」 「ったく、あんたは変な所で拘るわね?」 「仕方ないだろう…頼む」 エドニスが手を合わせて頼み込み、アギレラは呆れ顔のまま少女をお姫様抱っこの様に抱え拠点である宿屋のエドニスの部屋のベッドに寝かせた。
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