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誰かの声が聞こえる。
一瞬私は奴等を仕留め切れず捕まったのかと錯覚したけど様子が違う、朦朧とする意識の中で聞こえる声には敵意はなく、さっきみたいな身体の変調も感じられなかった。
ゆっくりと意識が飽和して行く感覚から目が覚めると私はベッドの上でシーツを掛けられた状態で、ふと声のする方へ向く。
そこに居たのは腰に短剣を二本携え、トレジャーハンター風に見える筋肉隆々の男性が居て対面側にはスタイル抜群ながら男性気質の女性が居て…さっき聞こえて居たのはこの2人の会話だと理解した。
私はベッドから起き上がると2人はそれに気付き女性の方が私の額に手を当てて男性は振り返ると静かに話しかけて来た。
「気が付いたか?見つけた時はどうなるかと思ってこの宿に運んだが…外傷はないみたいだな?」
「熱も無いわ!大丈夫みたいよ彼女」
「すまないなアギレラ、女の身体に不必要に触れては何があるか解らないと思って声をかけた、後はなんとかするから先に寝ててくれ」
「そうか?なら…あたしは部屋に戻るよエドニス…じゃあね、お嬢ちゃん」
女性はそう話すと後ろ手に軽く手を振って部屋から出て言った、残された私はエドニスと呼ばれている男性に頭を下げると
「申し訳ありません、見ず知らずの貴方方に助けられたと言うのにご挨拶もなく」
「気にするな!たまたま俺が通りかかったから拾っただけだ、俺はエドニス・ハマイヤ・ジルクーンなんでもねぇ…しがないトレジャーハンターだ、嬢ちゃんは?」
「私はイヴ…実を言えば私、過去の記憶と言う物が一切なく、何処から来て何故この町に居るのかすら解りません…聞いたことありますか?」
「イヴ…ねぇ…この町に関わらずイヴなんて名前はかなり居るからなちょっと解らない…済まんな」
「あ、いえ…お気に為さらず、もう大丈夫ですからここを出て行きます、自分が何者かを早く知りたいので、お助けくださり有難うございます、ご恩は忘れません」
私はそう伝えるとベッドから出て部屋の入口に向かおうとした…でも、何故だか身体の自由が効かなくてバランスを崩して倒れそうになり、すんでの所でエドニスと言う男性に支えられた。
「まだ、無理だろ…」
「いえ…ご迷惑はかけられません」
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