記憶を失った少女

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私は更に歩こうとしたのですが、身体が上手く動いてくれなくて、そんな時にまたあの声が… 『エネルギーの補給を要します…現在エネルギーの保有量は全体の10%危険域に達して居ます、何かエネルギーに変換出来る物を要求します』 そんな事を言われてもこの場所にある物は口にするには大き過ぎて他に代わりになる様な物もない…たまたま腹部が熱くなり始めその部分を抑えると急に口をついて言葉が発せられた。 「原因が解りました…恥ずかしながら私は空腹の様です…力が入りません、ですが食べ物はどーすれば手に入るんでしょうか?」 「あ、おう…食料か…何でも良いのか?」 「はい、補給可能なものなら何でも構いません、方法を教えて下さい」 「………まあ、市場に行けば手に入るが、今は夜中だ、何でもと言うなら…ホレ」 エドニスは麻袋から干し肉を取り出して差し出した…見た目はグロテスクだが『補給可能物質です約50%のエネルギー回復が望めます』と頭を声が過ると私はそれを受け取り口に運んだ、でも一口で収まるサイズでもない為それを咀嚼しながら飲み込む、するとその度に体内があったまり身体が動き始めた、香も味も解らないものだがどうやら私はそれを食べても平気な様だ、エドニスが見てるにも関わらず私は干し肉と言う物を無心に口へ運んだ。 「以外と癖があるからダメかと思ったがイヴは平気みたいだな、良かった」 「あ、いえ…」 味も香もないこのグロテスクな塊の感想は正直解らない、けれどエドニスが笑顔でいるとつい答えてしまう 「大変美味しいですね…有難うございますエドニスさん」 ………と、ありもしない感想を。 「それより嬢ちゃん…いや、イヴか、記憶探しをするなら一緒に行くか?この町は今、町外れの盗賊団宵闇の狼と海賊シーギャングと言う2つの悪党に囲まれていて危険だ…女の子が1人で歩ける程安全な場所でもない、だから、俺が護衛として一緒に行く…問題はないだろう?」 護衛として…しかし、イヴは首を左右に振り 「ご好意は有り難いですが私は大丈夫です、倒れる前人身売買の類を生業とする一味を全て排除して参りました、エドニスさんのお手を煩わす訳には参りません…どうか私の事は今宵限り忘れて頂いて結構です」
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