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「っ」
跳ね起きる。
見慣れた部屋、自分の部屋。特に変わったものはないし、変わったものも居ない。
なにも、ない。
ゆっくりと息を吐く。ベッドの上で膝を抱えるようにして座る。
毎日毎日同じ夢を見る。
白いワンピースの少女が笑う。
あの子、だ。あの、幽霊の子だ。
さすがに一週間同じ夢を見ると、しんどい。
通らないようにしているのに。
これは、自分が気にしているから見てしまう夢なのか。それとも、あの子が何かをしているから見てしまっている夢なのか。
手を伸ばしてケータイをとる。
3時24分。まだまだ夜中だ。
もう、これじゃあ眠れない。
最初の段階で相談すべきだった、のかもしれない。最初に夢を見たときに、相談すべきだったのかもしれない。
アドレス帳から、大道寺沙耶の名を探す。
さすがにこんな時間に連絡は出来ない。どちらにしろ、今更、連絡できない。それは小さな意地だ。たかが夢なのだし。
最近毎日やっているように、今日もケータイを閉じた。
目を閉じると、白いワンピースの少女が笑う。
慌てて目を開ける。
相談すべき、なのかもしれない。
でも出来ない。
心配をかけたくない。今更相談出来ない。どうしてもっと早く相談しなかったのか、と言われたくない。
なによりも、これぐらい独りでどうにかしないといけない。じゃないと、いつまでたっても彼女の足をひっぱるばかりだ。
もう、何度も下した結論を下して、それでも眠れなくて、ただ膝を抱えるようにして、耐えた。
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