第1章

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第1章

 1  片目を瞑る。また昔の癖が出てしまった。  密かに楽しみにしていた映画。公開日初日。監督も主演もあんまり有名では無いので、そんなに混んではいない。  無意味に閉じた目を開いて周辺を見渡した。20人くらいか。  エンターテインメント性がある映画以外は一人で見に来るようにしている。何故なら、帰り道で余韻に浸りたいときに会話が邪魔になるからだ。    館内が暗くなり、上映中の注意と、色々な映画の予告編が始まった。長い。といつも思う。宣伝だからしょうがないことは分かっているが、それにしても長いと思う。  しばらくして館内に、映画が始まる空気が流れた。緊張感が高まる。  ある街の上空からの引きの絵で始まった。    高揚感に包まれながら、私はスクリーンの中に意識を投入していった。
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