ルフの物語

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美しい草原をゆったりと馬車が進む。 手綱を引く小柄な少年は後ろを振り向き荷台に乗る男に声を掛けた。 「お客さん!そろそろ着きますよ!」 男は黙って頷いた。 10分ほど進んだところで馬車を止めた。 「着きましたよ、ここで間違いないですか?」 「あぁ、ありがとう」 「それじゃ、また依頼がある時は村までお越しください」 少年が馬車に乗り込もうとした時、男がおもむろに話しかけてきた。 「この建物に興味はあるか?」 少年は一瞬戸惑った様子だったが、あきらめた様な様子で話し始めた。 「ないと言えば嘘になりますけど...。ですが僕達運び屋はお客については詮索しないという決まりなので...」 「...そうか、もしこの建物に入ってみたいというならいつでも来るといい。歓迎しよう。」 「はい!、ありがとうございます!」 少年は馬車に乗り込み、馬を走らせた。 村まで馬を走らせてる途中、たった今降ろした男について考えていた。 (変な格好してたなぁ...全身黒いローブなんて暑くて死んじゃいそうなもんなのに。にしてもあの建物とどんな関係なんだろうな...) 色々な疑問が浮かんできたが、客の詮索はしない、と今一度自分に言い聞かせた。 村についた頃にはすっかり暗くなってしまっていた。馬を厩舎へ連れていき、馬車の中を掃除する。 (ん?なんだこの紙......) 「今日は...何日だ?...ってなんだこの紙?」 誰かのイタズラかなんかだろうと思いクシャクシャに丸め家のゴミ箱に捨てようとポケットへ入れた。 誰もいない家のドアを開け、小さな声でただいまと呟く。簡単な食事をとり、寝床へ着く。 (やっぱりあの建物...気になるなぁ...明日は依頼がないし建物に行ってみようかな...) 他にも色々な疑問が浮かんできたが一つ一つ考えてたらとても眠れそうにないため、少年は目をつぶり、眠りについた。
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