気づけ。

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「ねぇ、葉月。昨日の雨大丈夫だった?」 次の日の朝、通学バスで優奈があたしに耳打ちする。 「あ、大丈夫だったよ。ありがとうね。」 「良かったぁ。ちょっと心配だったの。」 優奈…ほんとに好き! 思わず嬉しくなって微笑む。 良い友人を持ったものだ。 「…くしゅんっ」 そう思った矢先、あたしは小さくくしゃみをした。 「風邪?」 「うーん、花粉かな。」 昨日の雨で風邪をひかないかと思っていたが、喉の痛みや熱っぽさはない。 「誰かがウワサしてるとか?」 「あー、あたしに想いを寄せる誰かとか?」 冗談めかして言うと、優奈はすぐに笑ってくれた。 「ほんとにそうかもよ。」 「やだ、冗談だよー!」 通学バスを降りたとき、湿った空気が身体を包んだ。 そういえば、あの廊下はどうなっているのだろうか。
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